山さけて 成しける池や 水すまし 寺田寅彦
神奈川県秦野市にある、関東大震災の"震"えによって"生"れた震生湖。大地震で山が割れ、川がせき止められて出来た湖に、今やその時の騒がしさが嘘のように澄み、ひっそりと水面が浮かぶ。計り知れない土地の震えによって生まれた自然彫刻を、音響的アプローチを通して接近する。異なる構造を持ちえる有機的な物質(砂、水、木、落ち葉)の固有振動数と音響的な素材が衝突・共鳴することで絶えず変化していく。土壌や展示会場に鳴り響く音は、震生湖がとりまく物質性が反映する。
流れ続ける時間の中で動かされた土、動かされた水は一瞬であり、連続的にあるものを把握することは不可能である。しかし、その変化が記憶として刻まれ、重なる層として聴取している”いま”の震生湖の音が存在する。震生湖に内在する抑圧された時間を、物質の軌跡や記憶を便りに再生する。
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